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■ 入門書

新人賞の獲り方おしえます (徳間文庫) 』久美沙織 著

利点 ●下読みも経験されている有名小説家の著書
●実例を織り交ぜた書き口のため、イメージしやすい
●文庫版もあり、値段が安い
欠点 ●絶版のため、中古本でしか入手不可能

小説家やライトノベル作家を目指す人は近年増加傾向にあり、執筆の入門書も
豊富にあります。
予備知識のなかった僕は技術向上のため、マニュアル本をたくさん読みました。
小説の書き方に絞った本や、小説家という職業の実態にスポットを当てたもの、
ライトノベルの変遷や、果ては漫画のキャラクター作りの本にまで手を伸ばしました。
そんな中で出会ったのが、今回ご紹介する書籍です。

著者の久美沙織先生は『丘の上のミッキー』や、RPGのドラゴンクエストのノベライズ本等多数の本を出版されている小説家 です。
また下読み(新人賞の一次選考をする人)も経験されていて、文章テクニックを教える講座の講師を務めたこともあるそうです。

僕がこの本と出会う前、ライトノベルの新人賞で一次選考にすら通らない状態でした。
自分の才能のなさを思い知っているとき、「なぜ第一次選考を通過できないのか?」という切り口でつづられてある本書を見つけたのです。
結論から申しますと、この本を読んでもすぐには一次選考を突破できませんでした。
それは本の出来うんぬんではなく、僕の理解力の問題です。
僕の鈍い頭でも何度か読んでいるうちに少しずつ浸透してきて、やっと念願の一次選考通過を果たすことができました。
現在は二次選考の壁が高く立ちはだかったいるわけですが……なかなかうまくいかないものです。

本書で特に学んだのは、『人様と同じことをやっているようではいつまで経っても
落選し続ける』ということでした。
要は数ある投稿作の中でいかに目立つかが選考を通過するポイント、と説いているのです。
文章にすると至極簡単に聞こえて、「そんなの当然じゃん」と思う方もたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし長編小説を執筆していると、そんな当たり前のことが分からなくなってくるのです。
僕がその典型で、凡庸極まりないことを書きなぐっていたために、一次落選を繰り返していました。
恐らく人と違う物事を、頭で考えず感覚でできる方が天才なんだと思います。
その点、僕はまごうことなき凡人です。

本書は講師である著者が、様々なお題で受講生に文章を書かせ、その作文を添削していくという趣向になっています。
受講生の文章を例にし、どれが平凡でどれが優れているかを説明しているため、イメージしやすい構成です。
良い文章を書くための心がけというか精神論的な部分が大半を占めてますが、新人賞に応募する際の封筒の作法にも触れています。
文庫版では『パラサイト・イヴ』でデビューされた瀬名秀明先生があとがきを
書いています。
僕のように一次選考に落ち続けている方には、苦難の道から脱する光明となるかもしれません。

ここで本書の唯一にして最大の欠点について言及します。
本書はハードカバー、文庫版ともに絶版 となっており、古本でしか手に入れることができません。
かくいう僕も、ネットの古本ショップで購入した口です。
お近くの古本屋で発見された際には、ぜひ手に取ってみてください。

最後にライトノベルの書き方に特化した書籍もご紹介します。

ライトノベルを書こう! (宝島SUGOI文庫)』榎本秋 著

上記の本は精神論ではなく技術論に寄ったノウハウ盛りだくさんの書籍です。
対象読者としてはライトノベルを書き始めたばかりの方 、だと思います。
文庫本ですし、絶版になっていないためAmazonでお買い求めいただけます。


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